たぐけんの投資と馬日記

株式投資と馬について思ったことを書いていきます

胃癌1次治療でのオプジーボの売上インパクトを考える

2020/10/30のアナリスト向け説明会でのオプジーボコメント抜粋(chrome-extension://oemmndcbldboiebfnladdacbdfmadadm/https://www.ono.co.jp/sites/default/files/ja/ir/library/financial_results/presen/20201105_1.pdf

「胃癌1次治療においても7割程度がもし取れれば、そのマーケットは800億ぐらいになります」

これを検証してみたいと思います。

 

2021/4/19のプレスリリース 米国食品医薬品局が、PD-L1発現率にかかわらず、進行または転移性胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がん患者の治療薬として、化学療法との併用療法でオプジーボ®を承認(https://www.ono.co.jp/news/20210419.html

 

この発表で日本でもPD-L1発現にかかわらず承認される可能性が非常に高くなりました。つまり胃がん1次治療の患者さんすべてにオプジーボが使用できるという事です。

承認時期については、「2020/12/11 オプジーボ胃がん1次治療で新たに一変申請 」を行っておりますので、この10~12ヶ月後の2021年10月~12月あたりと予想できます。

こちらは薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)の日程をチェックすることでおおよその日程は分かると思います。

現在のオプジーボの売上が2020年度980億予想ですので2022年売上は大きく増えそうです。

 

<胃癌1次治療1人当たりのオプジーボ使用額>

ATTRACTION-4試験のPFS10.45ヶ月(約42週間)。PFSは無増悪生存期間、その名の通り癌が増悪して次治療に移るまでの期間です。

平均して42週間オプジーボ+化学療法の治療が行われたことになります。

オプジーボ360mgを3週間ごとに化学療法と併用、オプジーボ360mgで62.4万円。

これを平均14回(42週/3週ごと)投与するので1人当たり873万円

 

<胃癌1次治療での使用人数>

胃癌罹患者数年間13万人(男性9万人、女性4万人)https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

うち化学療法が適応となるⅣ期の患者が約16%ほど(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv.html

年間2.08万人が化学療法の適応となる。その7割にオプジーボが使用されたとすると1.45万人

 

<胃癌1次治療でのオプジーボ売上予測>

873万円×1.45万人=1266億

年間を通しての罹患数なので、2021年すぐに1266億が上乗せされる訳ではないですが、現状1次治療として化学療法のみを行っている人にも一定数はオプジーボが上乗せされると思われます。

1266億の8割、1012億くらいは日本の胃癌患者への投与で上乗せがあると思います。

ただ、そうなると現在使用されている3次治療での処方がなくなりますので、年間230億分がなくなります(決算説明資料からの推測)。

1012-230=782億

2022年の1年間でこれくらいのインパクトはありそうです。

2021年度1200億(+21%)

2021年3月期には1-3月しか上乗せができないため、予想は妥当な金額かと思います。

*1番大きな要因は、競合のキイトルーダが胃癌1次治療での申請を取り下げており、このラインでは一人勝ちになることかと思います。

 

<リスク要因>

・日本ではCPS5以上等の使用制限がつく可能性

・使用量増加による薬価の拡大再算定が再び行われる